43.悠4歳の1年間
2009 / 12 / 29 ( Tue )
43.ムササビ悠は、今年もいろんなことを教えてくれた。子供の誕生・育児、子供

との分かれ、雨の中の帰巣や人に対する警戒、巣箱の回復など沢山の感動と何を

なすべきかを教えてくれた。それらをブログに書き綴り、今年は記事としては

18件になった。それらの中から特に印象深いものを、1年のまとめとして

あげてみようと思う。



 1) 悠は、昨年、一昨年と同様に今年もまた3月に2匹の子供を生んだ。そして8月

にも生んだ。年2回の出産は始めてである。今年は食料事情が良かったのであろうか。

ネズミモチ、栴檀、イチョウなどは大量に実をつけ、柿、杉、カヤ、その他の雑木も

例年作のようである。ただ、樫の実はともかく、ナラ、クヌギのドングリは明らかに

実付きが悪かった(もともとナラ、クヌギは2本しかない)。総じて、食料事情は

特に良くなったようではないし、悠達が出掛けて行く、付近の山々でもドングリの

実付きは乏しく、食料事情は例年と比べて少し悪いぐらいということであろうか。

そうすると、悠が年2回も出産したのは、悠が四歳をこし(注1)、成熟したから

であろうか。

 3月の仔は2匹、8月の仔は1匹である。来春から、悠は年2回、2匹づつ生む

のであろうか。生まれた子達がほぼ1年この屋敷林に留まるとなると、巣箱(現在

5個)を1、2個増やしたほうが良いかもしれない。

3月の仔②
   今年3月に生まれた子

   活発。巣箱からよく顔をだしてくれた。


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3月の仔①
   今年3月に生まれた子

   小さくてスローモー。 



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9月の仔
   今年8月に生まれた子

   いっしょの兄弟がいない一人っ子


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2)今年の悠は、夜中に子供を咥えて巣箱を移動した(前2年は出産巣箱で子供の巣立

ちまで子育てしていた)。4月末から5月はじめは、毎晩のごとく転居した。子供が

小さいうちは、いきなり咥えて運びだすが、少し大きくなると子供は咥えられるのを

嫌がって、抵抗し、暴れまわる。移動途中で落ちてしまうのではないかと心配するほど

である。落下の危険を冒してまで何故移動するのであろうか。この時期は、花見と帰省

で人が多いのも確かだが、母屋から各巣箱への距離がそれほど差異があるものでは

ない。

 5月はじめ(生後50日弱)の移動では、いやがる仔をようやく別の巣箱に移動させ、

残してきたもう一匹をすぐ連れに行くかと思いきゃ、移動先の巣箱で寝てしまった。

残された仔もはじめは1匹でゴソゴソ動きまわっていたが、熟睡に入った。悠は2時間半

も熟睡してから、ようやく元の巣箱に残してきた仔を連れに行ったが、もう1匹いるの

を忘れてしまったのではないかと危ぶんだほどである。


3)昨年(2008年)3月生まれの奈々は、巣立ちしてからは母親悠といっしょの巣箱

に寝起きしなかった。夜の活動を終えて「朝の帰巣」では、母親悠がその日に寝る巣箱に

入ってから、しばらくして奈々は別の巣箱に入る。一昨年の仔理理(女の子)は、巣立ち

してからも(特にいっしょに生まれた友友が消失してからは)、よく母親悠といっしょの

巣箱に寝起きした。奈々が生まれる前後も理理は母親悠といっしょだったし、朝の帰巣で

も悠の入っている巣箱に躊躇なく入りこみ、悠もまた、先に帰巣している理理の巣箱に

ためらいもなく入ってきていた。この理理と比べると奈々は、いつもひとりぼっちの

ように見えた。悠は「新巣箱」、巣箱A、巣箱Bを使うことが多かったので、奈々は

「奥の杉の木巣箱」が多かった。悠が新しく生まれた子達を連れて「奥の杉の木巣箱」

をも使うようになると、6月に楓の木に新たにとりつけた巣箱にひとりで寝起きしていた。

8月の半ばを最後に、奈々はこの屋敷林から見えなくなった。生後1年5ケ月間も

母親のホームレンジ(縄張り)にいたことになる。

 奈々は、小さい時、右耳が二つに裂かれる大きな傷を負った。多分、山で成獣オス

にやられたものであろう。それでも月日が経ち、体の小さい悠の仔とは思えないほど、

体格の大きなムササビになった。立派な雄(注2)、成獣となり、この屋敷林から

旅立って行ったのだ。

41ムササビY①    奥の杉の木巣箱の奈々

  母悠と一緒の巣箱に入らなかった。右耳に

  大きな傷跡が残った。

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41補正耳拡大

  楓の木に新しくかけた巣箱から覗いている奈々

  奥の杉の木巣箱にいたが、悠と今年うまれた子達を

  避けて(?)この巣箱に棲み付いた。 
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4)巣箱Aは悠が2年続けて出産、子育てした巣箱であるが、昨年スズメバチに乗っ取

られてしまった。よほどこの巣箱が気に入っていたのか、悠は、スズメバチの巣を壊し、

運び出し、7月には棲みかに回復した。3月生まれの子供達は「巣立ち」したので、悠は

一人でこの巣箱と他の巣箱を適宜使い分けている。8月中旬、巣箱Aの中にムササビの

赤ちゃんの死骸のようなものが見えた(赤外線ビデオで移りがあまりよくない)。悠が

出入りしているので、9月になって巣箱を下ろし解体調査した。「死骸」らしきものは、

分解されてしまったのか、何物かが運びだしたか、すでになく、その残骸として毛の

かたまりが残っているのみであった。この毛の塊りがムササビかどうかわからずじまい

となった(後日のために保存することにした。)。なお、8月の悠の出産は、月末なので

(子供の開眼日からの逆算からの推測)、仮にムササビの赤ちゃんの「死骸」としても、

新しく生まれた子ではないようである。
巣箱A死骸①
  巣箱A 8月はじめ

  「ムササビの赤ちゃんの死骸」のように

   見えたが・・・・・・

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DSC01399何か①    動物の毛の塊

  何の毛かも分からずじまいで、保管した。


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なお、巣箱Aを下ろした日の午後に、同じ木の同じ高さ、おなじ向きに新しい「巣箱A②」

を架けた。しかしながら、この巣箱は12月現在、全く使われていない(すぐ近くの「新巣

箱」は今年3月に生まれた子供ムササビがよく使っている)。このままにしてもう少し様子

を見ることにしよう。


5)これまで対外活動は全くしてこなかったが、今年は「リス・ムササビネットワーク」の

会員になった。これにより情報も増えたし、疑問点についてご指導を戴き、今後の観察の

仕方に展望が開けたことが何よりのものであった。第二に、インターネットで 

しらいみちよ さんのホームページ「しらいみちよ千客万来」を知り、「ムササビの

餌場の森作り」の立ち上げ式に参加させていただいた。石船神社のムササビの実態を

見学でき、関係者の方々の活動、ご苦労も知ることもできた。これが気持ちの切っ掛け

になり、ムササビを町の小学校の野外学習としてとりあげることができた。

「思ってもいない身近に野生動物ムササビがいること、その生態、人との係わり」等

を知ってもらうことができた。私自身、永く忘れていた小学生のひたむきな目に触れ、

深い感動を覚えた。関係者に感謝、感謝である。


(おわりに)ムササビ悠とは、大家と店子の関係と思い接してきた。良い大家になろう

として、快適な棲み家を提供しようと、今年は二つも巣箱を更新した。しかしながら、

今思うと、悠の方は「使っている巣箱を自分の都合でかってに代替しないで」と思って

いるに違いない。大きくなりすぎた庭木も数本伐採したが、悠にとっては食料であり、

移動立木であったかも知れない。後になって悠は迷惑しているだろうなと思うことも

多々あった。悠にとって見れば、この屋敷林は大家が作り上げたのものではなく、自然

が生かせている、自然がつくりだしたものであり、そのなかに自分が住んでいるのだと

思っているにちがいない。「はい、よく分かりました。なるべく迷惑はかけません。」

と言いつつ、下草刈り、落ち葉さらい、庭木の剪定、除草剤使用など止むに止まれずの

こともあった。加えて、結構写真も撮り、巣箱の下をうろうろもした。来年から、この

辺が課題かなと反省しつつ、年の瀬となった。

 なお、データや「記録」的なことがらは、関係記事をご一読いただけたら幸いである。

 
 

            注1、2は左下の「続きを読む」をクリックすると開きます。


注1 悠を最初に写真に撮ったのは2000年6月。まだあどけない子供ムササビだった。生まれは

   2000年3月と推定。



注2 ムササビの雄雌判別をご指導いただいたが、ビデオテープからDVDへコピーするさいに

   はじめ悠を奈々と間違い、ご迷惑をかけてしまった。その後、奈々のDVDを再送して「雄」

   とのご確認をしていただいた。多大なご迷惑をおかけしてしまったことをここに深謝いたします。

  (なお、これにより、雄雌の判断力は一段とあがったことが救いであろうか。)
  
   
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10:05:07 | ムササビ | トラックバック(0) | コメント(2) | page top↑
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コメント
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アンクル・カナさんの、地道な活動に、素晴らしい感動の展開、拍手!!

                  
by: くるみ * 2010/01/02 22:48 * URL [ 編集] | page top↑
--HP『ムササビの子育て』--

 長期間にわたる感動の記録は、素晴らしい宝物ですね。
 我が家の2階天井裏で、ムササビが2度子育てをしました。
 2011年夏からの画像とムービーを『ムササビの子育て』で上記URLにて公開しています。
by: 藤原陽一 * 2013/03/15 17:35 * URL [ 編集] | page top↑
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