16恐がりになった悠
2008 / 11 / 18 ( Tue )
16.恐がりになった悠

1)今の季節(11月3日)はムササビにとって、発情期でもなく、春に産んだ子の子育

てから開放され、多種多様の果実に恵まれ食物も豊富な安定期である。前日の宵の

出巣は、毛繕いの様子や出巣時間(日入りから約40分)も通常どおりであった。それ

ほど寒くもなく、蚊もいなくなったので、ひさしぶりに宵の出巣を見ようと巣箱の前で腰

を下ろして待った。目的は、巣箱Bから出た悠はどう動き回るのか、奥の杉の木巣箱

(ビデオ付いていない)に奈々(今年生まれた女の子)が入っているかどうか、奈々は

悠とどう交誼するのかなどである。(なお、観察の方法や時間などは追記に示した。)


2)昨晩の出巣時間から20分過ぎても悠は出てこない。真っ暗になり、巣穴も見えな

くなった。くわえて得体の知れない虫にさされたところが痒くて我慢できない。観察を

あきらめ、巣箱の前から離れた。居間にもどりモニターを見ると、悠はまだ巣穴に居た。

その後、30分ほどしてやっと出巣した。


3)はじめの思惑は叶わなかったが、外での観察とビデオテープをすり合わせしてみる

と意外な事柄が見えてきた。


警戒525   ①16:56 突然「キッ」と巣穴入り口を見る。

   この直前まで、宵の出巣のための毛繕いを盛んにして

   いた。                


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動かず600  ②16:56-58 固まって動かなくなる。 

   頭を巣草に突っ込み、尻尾で体を包む。微動だに

   せず、「ジッ」としている。


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警戒628  ③16:58 突然「キッ」と巣穴入り口を見上げる。 

   このままの姿勢でゆっくりと頭を下げて②の姿勢に

   なり、ほとんど動かなくなる。


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クシャミ628  ④17:16 小さく「クシュン」とクシャミ(?)をする。

   クシャミ、痒みは止められない筈だが、動きは

   小さい。「3分リズム」(13項参照)に抗して

   動かない。    
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警戒2648  ⑤17;20 「キッ」と上を向く      

   この直前、丸まっていたが、寝ているわけでは

   なかった。このあと、しばらく上をみていたが、

   ゆっくりと顔を下げ、尻尾にくるまってしまった。
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警戒2907
  ⑥17:25 突然上を見上げる

   上記⑤から五分後だが、この間体(全体)を少しも動か

   しておらず、まるで固まってしまったように見える。
 
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動かず3008
  ⑦頭を少し浮かして、「ジッ」としている。





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警戒3408 
  ⑧17:29 またまた「キッ」と巣穴入り口を見上げる。





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ここで(17:32)野外観察を断念し、居間に戻り巣箱をモニターで見る。



警戒解く4048
  ⑨17:33 毛繕い開始。毛繕いは出巣前に必ず行うが、悠は

    両手、両足、顔、尻尾など特に入念だ。



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外覗き4310
  ⑩17:34 巣穴入り口から外を覗く。これがこの日はじめ

ての外覗き。



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覗き5953
  ⑪17:46 この日2度目の外覗き。両手を巣穴入り口に

掛けてじっくり見渡している。この後、中に戻り急ピッチ

の毛繕い。



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覗き5954
  ⑫17:49 3度目の外覗き。両手両足で巣穴入り口に乗って

    いる。尻尾で支えている。



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覗き5954
  ⑬17:50 いつになく外覗きが長い。周りをよく確認している。

    この後、体を乗り出したり、向きをかえたりして、17:54に

    出巣して行った。

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4)ビデオ記録と野外観察記録(追記参照)との照合。

 ①野外観察の間(16:56-17:32)

  ・悠は一回も巣穴から顔をだしていない(通常出巣前に2、3回する。)。

  ・体をほとんど動かさない。頭を巣草に突っ込み、尻尾で体をくるんでいる(いつも
   ならさかんに毛繕いしている時間である)。

  ・いつもよりクシャミも小さく抑えている。 → 写真④

  ・アンクル・カナの動きに敏感に反応している。
     a)観察用懐中電灯の設置に動き回る → 写真①
     b)下草を取り払う             → 写真②
     c)時間確認のためライター着火     → 写真⑤、⑥、⑧

②観察取りやめ後(17:33-17:54)

  ・いつもより急ピッチで毛繕い

  ・出巣前の外の確認回数が20分間に4回と多く、最後の確認は
   4分間と長かった。 


5)観察のまとめ

 巣箱の近くに来たときから帰るまで、悠は一度も巣箱の外をみていないにもかかわら

ず、近くに何かがいると警戒し、緊張しつづけていた。懐中電灯設置や下草取りの動き

に反応したこともさることながら、ライター着火にも「ビクッ」とし、不安げに巣穴入り口を

見上げる。観察を止めて帰ってから、悠は出巣の準備(毛繕い)をいつもどおり入念に

行ったので平常にもどったと思った。しかしながら、巣穴入り口から乗り出していつも

より慎重に(4分もの時間をかけて)周りを確認してから、出巣していった。ムササビの

恐怖心・警戒心がかくほど敏感とはじめて知った。

 
 以前の悠は、杉林の小道から巣箱を見上げると、巣穴から顔を覗かせ、安心したか

のようにゆっくりと顔を引込めて、すぐ眠りに入る(ビダオから確認)。そんな関係が今

でもあると思っていたが、この小道も数ヶ月歩いていない。まして、宵闇の中で、人間

の気配は悠をいちだんと恐がらせたのであろう。かたくなにじつと去るのを待つ悠に、

すまなさが沸いてくる。してはいけない思いつきの観察であったのかも知れない。


 なお、ライターの着火音はビデオでは聞きとれなかったが、巣箱(巣穴)の集音につ

いては追記に記した(左下の「続きを読む」をクリックすると開く)。

 
観察条件:
・前日の悠の出巣時間(17:16)と悠が最初に巣穴から顔を出した時間(17:08)を考慮して
 16:56現場着。
・巣箱B(高さ8m)と奥の杉木巣箱とから10mほど離れ、両巣箱の斜め向かいで、遮る木々
 もなく両巣箱が良く見える小道に場所決定。
・懐中電灯(赤テープ貼ったもの)を、観察場所より前の杉の木に、奥の杉の木巣箱に向けて
 角度調整し、設置(電池が弱くて巣穴がはっきり見えなかったが、奈々は初めてなのでよし
 とした。)。
・腰を下ろして、邪魔な下草など取りはらう。
・本日の日入り16:38、月齢5.2 無風、曇り、10℃、

野外観察
 17:56 座る場所決める。懐中電灯セッティング、下草取り払いなど。
 17:10 巣箱見えにくくなる。何も変化なし(両巣箱ともムササビは顔を出さず)。前日この
       時間には顔をだしていたなと思う。
 17:20 杉林の中、高さ3mぐらい、東から西に何かが飛んだように見えた(奥の杉の木
       巣箱に奈々がいて、奈々が飛んだと思う)。時計文字盤もはっきりしない。ライター
       着火時計を見る。
 17:25 ライター着火(17:25を確認)。前日の出巣時間(17:16)から10分経過。
       もう出巣してしまったかと思う。両巣箱を見るので首を振りながらでは、一瞬の
       出巣確認は無理と思う。
 17:29 虫にさされたか、腕の三箇所痒く。巣箱はほとんど見えない。ライター着火して
       時間確認。
 17:32 出巣しても見えない。準備不足を後悔しながら観察断念。懐中電灯を撤収し、草
       の小道を帰る。
 17:33 居間に戻り巣箱Bのビデオモニター見る。なんと悠はまだ出巣していなかった。




巣箱Bは予想以上に集音性能に優れている。
  ・アンクル・カナには聞こえなかったが、遠くの救急車の「ピーポー、ピーポー」の音が
  記録されている。
  ・JRのジーゼルカーの走行する音が遠くから記録されている。
  ・JRのジーゼルカーの警笛がびっくりするほど大きく記録されている。
  ・アンクル・カナには聞こえなかったが、遠くの犬の鳴き声が記録されている。
 巣箱Bは杉材だが、その形状は、真ん中より上部に穴があり、縦長であり最近のスピー

 カーボックスに類似しているので、集音・反響がよいと思われる。自然の巣穴が集音に

 優れ、周りの状況をよく伝えることは知られているが、巣箱Bはそれ以上かも知れない。

 「木をたたいてムササビに顔を出させる」などは、げんに慎むべし。もっとも今の悠は顔を

 出さないであろうが。

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19:11:09 | ムササビ | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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