4ムササビ悠子連れ引越しその2
2008 / 07 / 15 ( Tue )
4.悠の子連れ引越しその2
(2)夏から秋、そして冬へ


B悠友友理理
   引っ越してきた巣箱B 

悠と友友(右下)、理理(左下の寝ている子)

母悠は、「巣箱の外に何か来たようよ。たぶん、またアンクルカナよ。

見なくっちゃ」 と 巣穴に伸び上がった。



DSC05768_悠B
 悠 「ほら、予想どおりアンクルカナよ。きれいに撮ってよ。」
 


①2007年8月、生後5カ月で友友と理理は、生まれた巣箱から母の住む楓の

巣箱の近くにある巣箱Bに移り住んだ。朝の帰巣や宵の出巣も、兄妹で一緒に行動し

ていた。時々、母悠が巣箱Bにはいりこんでくる生活が続いた(前記「4悠の子連れ

引越し」参照)。


楓の木の巣箱の悠
  楓の巣箱 子供のころから悠はここで夏を過ごす。

  斜め下に、友友と理理がいる巣箱Bが見える。


②10月になって、友友と理理は、移り住んだ巣箱Bからいなくなった。生まれた

巣箱Aにもいない(巣箱の位置などは次項「5ムササビ悠の棲みか」参照)。そして楓の

巣箱では時々悠が顔をだしており、悠が顔を出しているときに巣箱の中を齧る音がして

いた(友友か理理が齧っているのであろう。)。
 
 この楓の巣箱は、高すぎて内部の確認はできないし、ビデオも設置されていないので

正確には分からない。
  
③11月はじめに竜巻かと思われるような暴風があった。悠たちがいなくなった。楓の葉

はほとんど吹き飛ばされ巣箱は丸見え状態となった。しかも巣箱は後ろに傾いている。

悠たちが傾いた巣箱にいるかどうか確認できない。いる気配も感じられない(少なくとも

住みやすいとは思われない)。

巣箱Aにも巣箱Bにも悠たちはいない。一体どこに行ってしまったのか。

 もうこの森には帰って来ないのではないか。あるいは、誰かにいたずらされて捕られて

しまったか。こんなことなら巣箱をかけるのではなかったなど、いろんなことを思い、想定

した。

④ところが、数日たって、2匹のムササビが、巣箱A(悠がお産をした巣箱)を使いだした

ではないか


巣箱A悠と理理
   やれやれこれで一安心。でも2匹しかいない。
   
   はて、これは誰と誰。いなくなったのは誰。


ここで素人の先入観が(まったく間違った方向へ)はたらく(追記1参照)。

   ・これまで2匹一緒に行動していたのは子供同士の友友と理理。母悠はどっちか
    と言うと避けていたようだ。

   ・ビデオ(昼でも巣箱内は暗いのでカラーにならず、モノクロである。)を 見ると体
    の大きさと動きに違いがあるが、友友も大きくなったもんだ。これまでも友友は
    活発、積極的。理理はすべてスロモーで受身。

   ・巣穴から顔を出せば確実に判別できるが、顔をださない。これまで、悠は警戒の
    ためかよく顔を出していたが、子供達は昼はほとんど顔を出さなかった。

よって、この2匹は友友と理理であると思った。いなくなったのは悠であろうと。この森で

いろんな目にあいながら、4年も生きてきた悠がそんなに簡単にいなくなるだろかとの

疑問をいだきながらも。

⑤この日以降、この2匹は巣箱Aで春までいっしょに生活する。時々、帰って来ない日も

あったが、大雪、雨、暴風雨などの次の日の朝には巣箱Aにかならず戻ってきた。

⑥この4月になって約1月ぶりに巣箱Aのビデオを見ると、なんと新しく生まれた幼い2匹

の子供と、これを抱っこして授乳している母親、そしてもう一匹の計四匹がいる。

A理理赤チャン
   巣箱A 写真は、真ん中が理理で両脇に新しく生まれた子。

  母悠は外出中。理理が弟妹の面倒をよく見る。この後悠が帰って

  くるが、満員状態。全員はめったに見られない。(レンズが曇ってい

  て良く映らない。)


11月いらい巣箱Aにいたのは、友友と理理とばかり思っていたが、悠と理理だった

のだ(ビデオテープをその気になって見直した。11月からこの巣箱で生活しているのは

なるほど悠と理理である。)。

そこで、前年(一昨年)の悠の記録を確認してみると、

     ・ 暑い夏は涼しい楓の木の巣箱で暮らす。

     ・ 楓の葉が落ちて巣箱が丸見え状態になる(11月中旬)と巣箱Aに移る。

     ・ 巣箱Aで、(子供を産み、自分で菜食するまで育て、)夏まで生活する。

 要するに悠からすれば、前年と全く同じことを繰り返しているにすぎない。ただ、違う

のは子供がいることであり、暑い夏は、子供を楓の木の巣箱に近い巣箱Bにおいて育児

はそこでし、自分は楓の木の巣箱で過ごすということなのではなだろか。


⑦友友はどこへ

友友は、10月はじめから巣箱A、Bのビデオに映っていないし、実際に見てもいない。

奥の杉の木の巣箱(シジュウカラが子育てして以来、使っている気配はまったくない。)

や楓の巣箱にいた可能性はあるが、11月に理理が悠と巣箱Aに移り住んだことを考え

ると、11月にはもう友友はこの森にはいなかったことになるのであろう。

 友友は3月下旬の生まれなので、「10月はじめ」は生後6カ月である。ムササビの

いわゆる親分かれ子別れ」の時期は、男の子の場合、約1年と言われている(追記2

参照)ので、6ケ月は早すぎると思われる。

  いなくなった要因としては

(a)この森でよからぬ人に捕獲されてしまった(悠と理理は難を逃れた)。

(b)病気・事故で亡くなった。

(c)新天地で暮らしはじめた。

のいずれかであろう。「生後6カ月」はちょっと早いが、新天地で元気に飛び回っているの

であれば良いのだが。

宵の出巣や朝の帰巣における友友と悠の関係を見ていると、8月下旬には、友友は悠

の口なめもしなくなり、宵の出巣もかってに準備してさっさと先に出かけてしまう(悠の方も、

理理には毛繕いもしてやり、ガッチリ抑え込んで授乳もしていた)。友友はもう一人で

生活できるように思えた。

だからきっと大丈夫。ちょっと早いが普通の「親分かれ、子別れ」の旅立ちであったと。

 
[閑話休題]
「旧盆の満月にすけて、母子3匹影絵のごとく飛び回っていたことが嘘のようだ。宵の出巣
間もなく母悠と子供達があわただしく山奥に渡って行ってしまうと、かすかな虫の音と少し
寒く感じる風のわたりの中に、見上げる視界の半分も占める黒々とした杉の木々が、圧倒
的存在感でさし迫ってくる。夜の自然に生きていくことを選んだ悠たちは、人間にはそら恐ろ
しくも感じられるこの黒々とした森や物の怪がいるかと思われる山でさえも、当然のこととし
て受け入れ、且つ満喫しているのであろう。」(2007年10月の日記から)

 これまで悠の最初の子供である友友と理理との生活を述べてきたが、次回から、

二度目の赤ちゃんとのあれこれを見てみよう。



左下の「続きを読む」をクリックすると「追記」が開きます。












追記1
 ムササビ個体識別方法 川道武男氏(「ムササビの年2回の交尾期に影響する要因」哺乳類科学39(1):165-168,1999)によれば、
 「9Vの懐中電灯と双眼鏡(8~16倍、ズーム、ニコン)を用いて、すべての定住個体を耳の傷と毛皮の模様で個体識別し、名前をつけた。」
とある。研究専門家と素人の違いを思い知らされた。更に詳しくは、雑誌「自然」(1984年1月号)「夜
をすべるムササビの社会(1)」で、図式入りで解説しておられる。

追記2 ムササビ(数字)あれこれ  
 以下は、川道武男氏執筆の「1日本動物大百科 哺乳類Ⅰムササビp78~ 平凡社(1996)」からアンクル・カナが覚書に書き抜きしたものであり、正確には是非原文にあたっていただきたい。

 ・ 大きさ    猫ぐらい。ただし体重は3分のⅠぐらい。
 ・ 何年生きる  10年ぐらい。
 ・ 何を食べる  杉の葉やドングリ、桜の葉、花、実など植物。
 ・ 昼は、ほとんど巣穴で寝ている。夜活動。地上には降りない。滑空する。
 ・ メスが1ha程度の縄張りを持ち、オスは2ha程度の行動圏で行き来する。
 ・ メスが子育て(オスは協力しない)。
 ・ 出産は年に2回。早春(2月~4月中旬)と真夏(7月下旬~8月下旬)
 ・ 1回に1~2子。
 ・ 妊娠期間 74日間
 ・ 子供が巣穴から顔を出すのは   45日
 ・ 子供が外出始めるのは      59日
 ・ 子供が食物を食べ始めるのは   80日
 ・ 授乳はいつまで         91日
 ・ 母といつまで一緒か 男の子   1 年 
 ・    〃      女の子   1~1.5年         
これに関連して川道武男氏の報告(上記「哺乳類科学」)では、
「オスの性成熟が生後21から22カ月というのは、中型の齧歯類としては非常に遅い。若オスは1歳になった後の最初か2度目の交尾期に、母親の行動圏から消失した。若オスは性成熟しつつあるときに、母親の行動圏の近くに定住する成獣オスによって追い出されることが示唆される。産子数は1~2子の少産であるので、母親は性成熟まで長期に滞在を許して子供の生存率を高め、一方、子供は母親の保護を長期に受けるために性成熟を遅らせている可能性がある。」
と記載されている。
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18:53:41 | ムササビ | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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